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お客さまの困った、困った(^^ゞ Vol.82 「突合溶接継手の溶接脚長の基準は?」

お客さまの困った、困った

この度「手摺付きステップ」のお引合いを頂きました。
当社は建機メーカー様に「手摺」の納品実績はありますので問題ありません。

しかし、初めてのお話でしたので打合せの時間を頂き図面でご説明頂いた後現品があるので見せて頂くことになりました。

パイプの材質はSGPを使いコーナーは同様の溶接接継手を使うようになっていました。その時の溶接脚長ですが、特にご指示はありませんでした。当社のお客さまの中では配管用のパイプや突合せ継手の場合ですが、溶接脚長は3mm以上とご指示されるところあります。

反対に手摺では溶接脚長はパイプの外径面に合わせるよう指示がある会社もあると聞きました。果たして溶接脚長に基準があるのか調べてみましたところ基準を数値化されている資料を見つけることは出来ませんでした。

しかし、溶接学会ホームページ山本元道氏の著「溶接接合教教室-3-7 溶接継手・構造設計の基礎」を発見しました。
※参照(http://www-it.jwes.or.jp/jws/lecture_note.jsp

私には詳しい理論は分かりませんが、山本元道先生の説明によると強度計算上では脚長よりのど厚(下記図面の“ a”部)が基準となるようです。

しかも下図左の溶接継手はレジューサーのように左右の肉厚が違うときは薄い方を部分溶込みでは溶込みまでをのど厚とされます。下図右すみ肉溶接は脚長が等脚であれば脚長の先端の延長線上がのど厚。

どんなに盛り肉になっても計算上は無視されるが、センターなどが減肉になると薄い方が計上されます。不等脚の場合も同じ扱いがされるそうです。

はじめにご案内いたしました参照資料に記載されていましたが、現場の環境、荷重、形状、重量、加工性、材料などが強度に影響しますので溶接条件は現場のご指示を仰ぐのがベストのようです。